大判例

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東京高等裁判所 昭和49年(う)1696号 判決

被告人 浅原昇 外二名

〔抄 録〕

各論旨は、原判示各罪となるべき事実第二、の公務執行妨害の事実につき、被告人らはいずれもその実行行為を担当しておらず、いわゆる共謀共同正犯者として処罰されているが、実行を分担しない共謀者を刑法六〇条により共同正犯として罰することは憲法三一条に違反するのみならず、被告人らと他学生らとの間に共謀が存したことを認めるに足りる証拠もないから、原判決の認定には判決に影響を及ぼすこと明らかな事実誤認がある、というのである。

しかし、犯罪の実行行為を直接担当しなくとも実行行為との間に共謀の存在が認められる以上、その者が刑法六〇条により共同正犯の責任を免れ得ないこと、およびこのように解することが憲法三一条に違反するものでないことは最高裁判所の判例(昭和三三年五月二八日大法廷判決、刑集一二巻八号一七一八頁)の示すとおりであり、原判決挙示の関係証拠によれば、被告人浅原は原判示道玄坂上交差点付近路上で、警視庁第五機動隊員本岡久明に対し、所持する角材をもって殴りかかるという公務執行妨害の実行行為をみずから行ったものであることは明らかであり、被告人岩崎および桜井の両名は、直接実行行為を行ったことの証明はないが、被告人岩崎については、同被告人を含む約二〇〇名位の学生らの集団が、原判示道玄坂上派出所付近の路上で、同派出所勤務の警察官、警視庁第三方面機動隊第一中隊第一小隊所属の警察官、第五機動隊所属の警察官らに対し、火災びんや石塊を投げつけ、角材、鉄パイプおよび野球用バット等で殴打するなどの暴行を加えたこと、同被告人は右集団の前列におり、警察官の検挙活動により三業通りを逃げようとして至近距離で逮捕されたが、当時角材を所持していたこと等が明らかであり、右の状況からして前記学生らとの共謀の存在が認められるし、また被告人桜井については、同被告人が前記道玄坂上派出所付近の路上で前記警察官らに暴行を加えた学生らの集団の中におり、右学生ら集団の一部が前記道玄坂上派出所に対し、投石や角材で突く、叩くなどの攻撃を加えた際、同被告人は、派出所入口でジュラルミン製の楯をもって防いでいた同派出所勤務の和田巡査の楯をけとばすような恰好で近付き、付近にいた深沢巡査により派出所内にはたき込まれ、同派出所内において逮捕されたことが明らかであり、右の状況からして前記学生らとの共謀の存在が認められるのである。

以上を要するに原判示第二の各事実には所論の事実誤認はなく、論旨はいずれも理由がない。

(田原 吉沢 小泉)

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